【コラム・ネタ・お知らせetc】 「人形つくり」を生業にしている我が身に、不思議な感覚
アキバBLOGをご覧の皆様、こんにちは。あっという間に7月が終わり、イベント満載の季節がやってきます。 今年はサマーソニック初日⇒コミケ3日目⇒キャラホビワンフェスと洒落込む予定のバンダイの担当Tです。大概の気合を入れないと乗り切れないこの夏、サマソニでテンションをアゲつつ突っ走るつもりですよ。と言いつつ今回はちょっと趣を変えて―。


さて、今回はそんな怒涛の夏の終わりに疲れた心と体を海に浸してくれるような、そんな一本の映画を紹介したいと思います。(あくまで個人的な紹介なのであしからず。)

もんしぇん(配給:シグロ 上野一角座にて8/19〜公開)という映画です。たぶんまだ映画ファン含め、知る人の少ない作品かと思います。何でそんな映画を紹介するのか、といわれると理由は二つ。一つ目は、この作品の監督、そして主演者が私の友人であるから。そしてもう一つは、この作品が、ある人形作りの集団をモチーフに描かれており、曲がりなりにも「人形つくり」を生業にしている我が身に、不思議な感覚を残していった映画だから。(はい、結局どっちも極私的ですww)

もんしぇん 「もやしもん」ではありませんww
「主人公ハルは、不思議な海辺の家で土人形を作り続ける老人たちに出会う」

熊本・天草の海を舞台に、お腹に新たな命と形にならぬ不安を抱えた一人の若い女性が、奇妙な人形作りの老人の集団と出会い、そこで命の始まりの不思議に触れる、といった筋のとても静かなファンタジーです。

彼らが作る土着的な『天草土(どろ)人形』は、もちろん私達の作ったり買ったりしている『秋葉萌人形』とは見た目も全然違うけれど、作品の中であるおばあちゃんが、ある乳飲み子と乳母の土人形に彩色をしながら、『この人形の型を作った人、絶対男だね。だって見てみな、このいやらしい手つき!』といって笑いあうシーンには、すべてに共通する温かなリアリズムを感じるのでした。(彼らは原型師ではなく、誰が作ったかわからない原形を元に、家内制手工業的な量産をおこなっている)

変な話、例えば自分の担当したフィギュアが、中国の工員さんに『うわーなんやこれセクハラやろ』と笑われながら作られているかもしれないわけで。

そんなことを気にしても始まらないことは分かっていつつも、時折後ろ向きな考えに陥りそうになることもないわけではないのですが、映画を見て、こんな風に優しく笑い飛ばしてもらえたならすごく幸せじゃないかと、ちょっと温かい気持ちにさせられたのです。量産をしてくれる人が、そしてそれを買ってくれる人が、そこに愛情をすこしでも感じてくれる瞬間があると想像することができれば、明日もまた真摯な気持ちでこの仕事を続けられるではないかと。

「天草の海を描くカットも印象深いものが多い」

試写でそんなことを徒然考えつつ、この映画がワンダーフェスティバルと同時期に封切られる偶然に、なんとも言えない徒心を覚えてしまい、こうして場違いとも思える駄文を書いているわけですが、上映は上野国立博物館内の一角にある小さな劇場一角座。有明・秋葉と巡った後の締めに如何でしょうか。 

宮崎駿主催の演出塾を経て、アニメ『線と千尋の神隠し』では千の姉役のリンを演じた玉井夕海が、主演・脚本・音楽をこなし、澱みの中で煌めく小さな星を掴もうとする若い命を瑞々しく表現しています。噂では、試写でつまんなきゃ普通に出て行っちゃう某宮さんからも好評コメントだったとか?! そんな煽りは抜きにしても、まずは「もんしぇん」公式ホームページを訪れてみてください。イマジネーション豊かな作品世界と、それを作り上げた人達の繋がりの一端に触れることが出来ると思います。

さて、今回は無理やりフィギュアばなしにかこつけつつ、私的映画応援団をやってしまいましたが、次回は再び土人形もとい、萌フィギュアの最前線に再突入!ん、コミケど真ん中ですね。次回はテンションアップして、涼宮ハルヒ『ハレ晴れスイング』彩色サンプルをどこよりも早く公開予定。心して待て!

バンダイ ベンダー事業部 担当T

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 | posted by アキバBlog(秋葉原ブログ) geek at : 05:55| コラム