【かーずSP】 奈須きのこ氏に訊く「劇場版 空の境界」インタビュー:前編
奈須きのこ氏に『劇場版 空の境界』のインタビュー 『空の境界(からのきょうかい)』とは、ゲーム『月姫』『Fate/stay night』で一世風靡したTYPE-MOONのシナリオライター・奈須きのこ氏による長編伝奇小説。今回、その『空の境界』が、劇場版アニメ(公式サイト)として完全映像化されるということで、奈須きのこ氏の熱烈な一ファンであるかーずが、色々と話を伺ってみました。(後編



『空の境界(からのきょうかい)』とは、ゲーム『月姫』『Fate/stay night』で萌え業界を一世風靡したTYPE-MOONのシナリオライター・奈須きのこ氏が、初期に執筆した長編伝奇小説。1998年にweb小説公開が開始されてから三年後に自費出版という形で刊行された。また2004年には講談社より加筆修正された商業版が、空の境界 上空の境界 下として刊行されている大ヒット小説。

今回、その『空の境界』が、劇場版アニメ(公式サイト)として完全映像化されるということで、奈須きのこ氏の熱烈な一ファンであるかーずが色々と話を伺ってみました!


※奈須きのこ氏にインタビューするかーず


■『空の境界(からのきょうかい)』劇場版アニメ化への道のり

──「まず、今回の映画化の経緯はどのようなものだったのでしょうか?」


奈須きのこ氏(以下、奈須・敬称略) 「前から『空の境界』をテレビアニメにしたいという話はありましたが、映像化に適した話ではないので断り続けてきたんです。こういう散文詩的な話をテレビアニメでやっても、観る側の意識が散漫として理解しにくいとストレスを感じさせるだろうと。それなら映画ではどうだ、とも言われた時、なるほど、劇場に足を運ぶという能動的な行為から始まる映画なら集中力は高まるのでありかもしれない……と納得しかけて、それでも冷静に考えるとやっぱり難しいだろう(笑)と落ち着いて、話は終わったんです。

そういった経緯があって、『空の境界』のアニメは一生ないだろうと思っていた一年前に、講談社の太田さん (講談社の太田克史氏。文芸誌『ファウスト』を創刊させた編集者で、現在は『講談社BOX』という新レーベルを立ち上げて編集長となる。奈須さんの最新作DDDもこのレーベル)から、 『アニプレックスさんとufotableさんと組んで、「空の境界」を劇場版で7本連続公開をしようと思うんですが、どうでしょうか?』という打診がありまして、あまりに常識外の話だったのでまずその熱意にうたれ、それだけ凄い話をされたら断る方が失礼だと快諾しました。

TYPE-MOONの作品だとすでに『真月譚 月姫』(以下『月姫』)『Fate/stay night』(以下『Fate』)は映像化してますので、劇場アニメ化ぐらいではもうユーザーさんは喜んでくれないと思ったんですよ。 しかし7本連続公開というのは、観る側も制作する側も非常に刺激的なことで、やる価値があるんじゃないかと。」

──「画期的な企画ですよね、7本連続って」

奈須 「無謀ともいいます(笑)」

──「昔の作品を新たに掘り起こされる事への"気恥ずかしさ"はありますでしょうか?」


奈須 「それは当然ありますね。『空の境界』は自分が一番未熟だった頃に書いたものなので、 それが10年経ってこのように墓場から蘇るのは、猿の手じゃありませんが『止めればよかった』みたいな 。でもそれはあくまで原作の話であって、現状仕上がっているPVとスタッフの意気込みをみるに、 『空の境界』ではなく『劇場版 空の境界』は胸を張れるものだろうと思っています。

──「原作小説で後から『ここを直したかった』って部分を、今回のアニメ化をきっかけにオリジナル要素として手直しして、より良くしていこうとは思いましたか?」

奈須 「『空の境界』は第一話「俯瞰風景」が一番拙い話なんですよね。これをなんとかしたいってのはずっと思ってて、『今回映画化するんだったら第一話を書き直しますんで、そのバージョンで描かせて欲しい』とスタッフさんにお願いした所、『いえ、このままでいきたいんです。これをアニメにしたいんです!』という熱意を返されました。

で、実際に上がってきた脚本を読んでみると、無駄な贅肉を半分以上取っ払って、かつ物語として面白いものに仕上がっていたので『これなら自分が書き直す必要はない』ということになりました。」

──「『空の境界』は緻密な設定が特徴的で、そのまま映像化しても説明不足になってしまう懸念があるんですが、その部分はどのように解決しているのでしょう?」


奈須 「邪魔な部分は取っ払う。そして美しい背景美術とフィルムの空気など、絵で表現できるものは表現していって、必要最小限のギミックだけは言葉で拾っていこうと。 ただ、一回観ただけではわからないところは残ってると思います。それは二回観たり、原作を読めば深く理解できるだろうと思います。」

──「初めて『空の境界』に触れる人へのフォローはどうでしょう?」

奈須 「第一話だけでは無理かもしれません。時系列はそのままでやりますので、第一話・第二話の出来がよくても、それだけでは総合的には理解力は浅いままで、全7話観終わった時に、 ようやく原作を読まなくても理解出来るようになるんじゃないかと。」


──「『7回劇場に足を運んでもらうための仕掛け作り』ということをあちこちでおっしゃっていますが、具体的にヒントだけでも教えてください。」

奈須 「いくつかアイディアはあるんですけど、まだ検討中です。凄く夢の詰まった企画はボツになりました。一話だったら一話の原作小説を全部パンフレットに掲載して、表紙のみならず全ページを全部銀ラメにして、原価3千円ってなによそれみたいな(笑)」

──「(笑)その仕掛けって、単純に後を引くような終わり方をするとか、そういう意味ではないんですか。」

奈須 「それも当然考えてはいますが基本的には一話完結の話なので、起承転結の結で気分をすっきりしてもらった後に、多少後に残る演出をして、あとは劇場に来てよかったって思っていただけるような感じにしたいですね。」

──「原作と同じということは、時系列がバラバラですよね。それを並び替えて、分かりやすく再構成する案もあったと思うんですが」

奈須 「先ほどいったように、スタッフさんは原作そのままをやりたい、最後に焦点がつかめないドキマギ感や独立したようなアンバランス感を出していきたいということで、原作の順番での公開になりました。これが半年に一本づつだったら絶対止めるんですけど、幸い7ヶ月連続に近い様な公開予定なので、バラバラのままでもギリギリ許されるだろうと。間があまり空かないからこそできる手法だと思っています。」

──「全7部作ということですが、章によって長さにだいぶ差がありますけど、それぞれ同じ上映時間なんでしょうか?」

奈須 「違います。テレビアニメだと一話二十数分って決まってるんですけど、劇場だからこそのメリットとして、上映時間もまちまちになります」

──「式と織をどう描き分けているのかが個人的に凄く気になるんですけど。」

奈須 「萌えキャラとして可愛い方が男「織」、ツンケンしてる方が女「式」です。第二話の男「織」の可愛さは尋常じゃないですよ(笑)」


奈須きのこ氏に訊く『劇場版 空の境界』インタビュー:後編へ
声優キャスティングはこうして決まった


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